2006年06月09日

「改造」1923年1月号

翌年の1923年1月号は、p.293からそれなりのページ数を割いてアインシュタイン来日後の“総括”を行っています。しかし、この号についても「予言」は発見できませんでした。

かわりに「巻頭言」には「偉人を慕うこころ」という文があり、下記のように記していました。
「彼は他人を呪わなかった。階級闘争を超越していた。民族関係を眼中におかなかった」


ここからはアインシュタインを接待した「改造」関係者が、博士から民族の上下に頓着しない姿勢を感じ取っていたようすが伺えます。

この号には日本を訪れた感想と謝意を述べるアインシュタインの書簡も掲載されています。p.337前後の「日本に於ける私の印象」です。しかし、ここではアインシュタインは
ごく短い滞在だったので、日本の社会や政治情勢について造詣を深める余裕はなかった
という趣旨のことを述べています。つまり、天皇制などについて触れるほど知見がない…と分別を見せていたことがわかります。

ただし、
「然し只一つ私の心に横っていることを云わしてもらいたい。日本人が西洋の科学を賞賛し、自己も大いなる理想を以て之に向かいつつあることは素より喜ぶべきことではあるが、自己が西洋に優越して有する大いなる美を純潔に保たれんことである。生活の芸術的形を具えていること。質素にして而も個人的欲求の少なきこと。日本の心の清くそして静かなること」
との句を残しています。

博士は、来日時に日本食を食する機会があり、これを「絵のように美しい」と喜んだという記録が残っています。「生活の芸術的形を具えている」とは、こういった様式の美についてのことだろうと思われます。

しかし、天皇制についての言及は一切ありませんでした。「天皇」の「天」の字も出てきません。
posted by ein at 09:16 | TrackBack(0) | 検証 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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